Season Of The Pen Friend Club
Season Of The Pen Friend Club
・2016/01/20
・2019/06/19 (Remixed & Remastered Edition)
[2023Mix]
配信開始日:2023/5/24
発売元:Sazanami Label
https://diskunion.lnk.to/SZDW3023
Track List
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街のアンサンブル
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What A Summer
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Poor Boy
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Long Way To Be Happy
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Where Did You Go
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土曜日の恋人
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Summertime Girl
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Before My Summer Ends
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By The Time I Get To Phoenix
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His Silhouette
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街のアンサンブル (Backing Track)
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What A Summer (Backing Track)
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Poor Boy (Backing Track)
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Long Way To Be Happy (Backing Track)
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Where Did You Go (Backing Track)
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土曜日の恋人 (Backing Track)
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Summertime Girl (Backing Track)
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Before My Summer Ends (Backing Track)
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By The Time I Get To Phoenix (Backing Track)
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His Silhouette (Backing Track)
The Pen Friend Club 『THE EARLY YEARS』発売に寄せて
ペンクラ初期4作のRemixed & Remastered Edition.
「初期」「THE EARLY YEARS」という名付けがすでにペンクラらしさを醸し出している。そしてただの再発と侮る無かれ。コーラスの多くが差し替えられ、リミックスによって各楽器の存在が浮き彫りとなった本作は「改作版」と捉えることもできる。手に入れないわけにはいかない。コーラス入りのカラオケを全作品に収録したことも、平川のコーラスワークやミックスに対しての自信と伺える。各作品彩り鮮やかにアップデートされているのだが、特に最初期「Sound Of The Pen Friend Club」においてその変化は顕著である。また、楽器のステレオ定位変化等もあるので、旧作と聴き比べも楽しい。ミックスやマスタリングは時代によって、その聴こえ方も聴かせ方も変わってゆくもの。「決定版」と伺っているが、将来「オリジナルミックス」をリマスターしている平川の姿が目に浮かばないでも無い。各作品毎にボーカリストが変わる妙もお楽しみに。ご堪能あれ。
2019.4.30 カンケ
●推薦コメント
アルバムを出す度に驚異の進化と深化を遂げているザ・ペンフレンドクラブ。待望の3作目でありヴォーカリストが替わって初のアルバムとなる本作も期待を裏切らず、彼らの持ち前である魅惑のガレージ感覚はキープしつつ、曲作り、アレンジ、サウンドメイク、ミックス、コーラスワーク、アートワーク等、洗練味を増してさらなる高みへとつき進んでおります。しっとり感溢れる正統派スタイルのヴォーカリスト、ジュンさんの声も良いねぇ~♡
今回のヴァージョン・アップの目玉はなんたって収録曲全10曲の半数がオリジナル、しかも初の日本語詞作品にも挑戦していること。どれもクオリティーの高い作品揃いで、ロネッツ、ロイヤレッツ、トレイドウインズ等の錚々たる隠れ名曲カヴァーと肩を並べ収録されていても何の違和感も無いどころか、アルバム全体のトータル感が増し完成度の高い作品に仕上がっているのはお見事! まさに「ペンフレンドクラブの季節」到来って感じで毎日ヘビロテで拝聴しております。
中村俊夫(音楽制作者・音楽著述家)
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幕開けとなる珠玉のジャパニーズ・ポップス「街のアンサンブル」に導かれると、そこはすでにザ・ペンフレンドクラブによる魔法のワンダーランド。ポップ・ミュージックへの深い愛情が込められた至福のオリジナル・メロディとロイヤレッツ、ダーレン・ラヴ、トレイドウィンズ、グレン・キャンベルらの〈永遠の調べ〉が見事に溶け合うさまにはまたニヤリとさせられながら、山下達郎「土曜日の恋人」の堂々たるカヴァーにも喝采を送らずにはいられない。寄せてはまた打ち返すサウンドウェイヴはあまりにも心地よく、繰り返しまた繰り返し聴くことによって新たな煌きと喜び、そして発見が待っている。そう、彼らの“季節”はエンドレスに続いていく。
山田順一(ライター、エディター&リサーチャー)
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ペンフレンドクラブの日本語オリジナル曲がいきなり登場しててビックリ。
ずっと超絶マニアックなバンドだと思ってたけどこの曲聴いたらちょっと考えが変わったかも。
ケンタッキーのクリスマスバーレルがむしょうに食べたくなっちゃったぜ!
矢島和義 (ココナッツディスク吉祥寺店)
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渚のバルコニーでこの時を待っていたに違いない3代目ボーカル高野ジュン、彼女の声は素直で伸びやか、そして、しなやか。
歴代のペンクラ・ボーカリストとは異なる時代性、時にニューミュージック的、邦楽的な雰囲気を醸し出す彼女の歌唱は、ペンクラに新たな魅力をもたらしています。
それは、バンド初となる日本語オリジナル曲 ”街のアンサンブル” を聴いても明らか。故に ”土曜日の恋人” のカバーも見事にハマってます。
だがしかしだがしかし、あえて1曲選べと言われたら(言われてないが)、オリジナル曲の ”Where Did You Go” を強く推したいと思います。
平川氏と高野さん、2人の声の相性の良さも感じ取れるこの楽曲の魅力たるや、それはもう往年のポップス名曲達と肩を並べても遜色ない程。
どうやらこれからしばらくの間、ペンクラの季節真っ盛りになりそうですね。
森 裕之 (PowerPopRevival)
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ペン・フレンド・クラブ待望の3枚目のアルバム『Season Of The Pen Friend Club』が2016年1月20日に発売される。2014年から年1枚という順調なリリースだ。
多くのポップス・ファン、ソフト・ロック・ファンを唸らしたペン・フレンド・クラブ。オリジナルはもちろんいいのだが、今回も多くのコアなファンを満足させるカバーを入れてくれた。
1枚目で言えばブルース・ジョンストンの隠れた名曲、ブルース&テリーの「Don’t Run Away」で、2枚目ではボブ・クルーのプロデュースで、クルー&サンディ・リンツアー&ダニー・ランデル作というフォー・シーズンズ・ファン感涙のラグ・ドールスの「Dusty」だった訳だが、今回は、私が一押ししているテディ・ランダッツォ作・プロデュースのロイヤレッツの「Poor Boy」になる。
もちろんそれ以外のカバーセンスも素晴らしいのだが、今回はこれできたか!と私のようなマニアを喜ばせてくれた。さて、それではアルバムの内容を紹介しよう。オリジナル曲の作曲はリーダーの平川雄一である。
冒頭の「街のアンサンブル」はこのアルバムの中の一番お気に入りンナンバー、1曲目にもってきただけある。爽やかでキャッチーで曲の展開も流麗、バックの鈴やグロッケンの音が華やかさを醸し出しているし、間奏のギターが音色もフレーズも良くここもポイントだ。
「What A Summer」は英語で歌われるオリジナルのソフトロック・ナンバー。この曲もグロッケンやカスタネット、パーカッションなど、曲の展開も含め丁寧に作られていている。エンディングはまさにソフト・ロックのパターンだ。
そしていよいよ「Poor Boy」。ロイヤレッツのカバーと書かれているが、それはある意味正確ではない。ソフト・ロック・ファンにとっての神というべきテディ・ランダッツォのワークスと言うべきだ。1965年から1967年にかけてのテディ・ランダッツォが書いた曲はテディが作曲、そしてプロデュースを行い、めくるめく転調、弓を引っ張って引っ張って一気に解き放つようなドラマティックなプロデュースがあまりに素晴らしく、ポップスの頂点を極めたミュージシャンの一人だった。そのテディの1965年のワークスだが、テディ・ランダッツォのようなメリハリを付けたドラマティックなプロデュースではなく、あくまでもリード・ヴォーカルの爽やかさを生かす華やかでスムーズなプロデュースにしている。
続く「Long Way To Be Happy」はご存じフィル・スペクターがプロデュースしたダーレン・ラブの快作。毎回、フィル・スペクターのプロデュース曲のロネッツの曲をカバーしてきたが、今回は最もソウルフルなダーレン・ラブ。オーバー・プロデュース気味のスペクターのエコーではなく、バックの細かいハーモニーまで聴こえるナチュラルなプロデュースを行っていた。
オリジナルの「Where Did You Go」はギターのリフから始まるロック・ナンバーで、カウンターの男性ヴォーカルのとのからみがいい。
「土曜日の恋人」は誰もが知っている山下達郎のカバー。しかしこの完成度の極めて高いナンバーのカバーにトライしようとしたミュージシャンは知っている限りなく、それにトライしただけでも画期的なのに、見事に成功している。この曲はあえてアレンジを同じにして、女性ヴォーカルが歌うとこうなるという見本を聴かせてくれた。私自身、数ある山下達郎のナンバーの中でもベスト2(もう1曲は「愛を描いて」)に入れる名曲中の名曲、最も好きな曲だけにこれは嬉しいカバーだ。なおこの曲のイントロはゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズのアルバム・ナンバーの「We’ll Work It Out」で、スナッフ・ギャレット&レオン・ラッセルの浮き浮きする華やかなサウンド作りも継承している。
「Summertime Girl」は1枚目でも取り上げたトレードウィンズのカバー。ソルト・ウォ-ター・タフィーのアレンジ…ではなく、ここはトレードウィンズのアレンジでのカバーだが、オリジナルはRed Bird時代の曲でサウンドが薄かったため、ここではエコーたっぷりにまるで山下達郎の『Big Wave』でカバーしたかのような充実したアレンジで、オリジナルより聴かせてくれる。
「Before My Summer Ends」は英語詞のオリジナルで、バラードかと思いきやアップテンポに展開するポップ・ナンバー。
そのあとはまた私の大好きな曲のカバー「By The Time I Get To Phoenix」だ。ジミー・ウェッブ作のこの曲はグレン・キャンベルが歌ってグラミー賞を獲得し、スタンドードになった名曲中の名曲。この曲は邦題に「恋はフェニックス」というとんでもないタイトルが付いたので、「恋は不死鳥」なんて思っている人が多いようだが、歌詞を読んでみると、恋人を置いて別れた男が、フェニックス、アルバカーキ、オクラホマへと帰っていくストーリーだ。実に味わい深い歌詞、そこに素晴らしいグレン・キャンベルの歌声で心にしみわたる名曲になった。ちなみにジミー・ウェッブの出身地はオクラホマで、グレン・キャンベルが音楽活動を始めたのがアルバカーキ。この曲はさすがに原曲の雰囲気を壊すとぶち壊しになるので、オリジナルにかなりそったアレンジで歌われる。ジミー・ウェッブはデビュー初期に才能を使い果たした感もあるほどこのデビュー期のワークスは凄かった。前作では同コンビの名曲「Wichita Lineman」をカバーしており、やっぱりやってくれたなというところ。
最後はオリジナルの「His Shilhouette」。一瞬ライブかと思うような拍手がインサートされたア・カペラから始まり、ミディアム・テンポに変わって、穏やかで優しいメロディのクロージングナンバーになる。この曲も英語詞。
これだけオリジナル、カバーともに充実した日本のポップ・グループは他にはない。オススメである。
佐野邦彦(VANDA)
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平川君のポップセンスきらめくオリジナルと、原曲への敬愛があふれるカバー
くやしいくらい素敵なアルバムだ。
鎌倉 克行(so nice)
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オリジナル曲を増強して新たな地平を進むペンフレンドクラブ 従前よりビーチ・ボーイズ、フィル・スペクター、アンダース&ポンシア、ジミー・ウェッブなど、60年代アメリカン・ポップスのサウンドやヴォーカル・スタイルをライヴで再現してきたペンフレンドクラブだが、今回のサード・アルバムでは、それらのエッセンスを生かしたオリジナル曲を5曲に増強し、ペンフレンドクラブ独自の地平を切り開こうとしている姿勢が見られる。そのうちの1曲はリーダー平川雄一作の日本語詞による「街のアンサンブル」だ。山下達郎のカヴァー「土曜日の恋人」と、日本語詞の曲を初めてアルバムに収録したことも、ペンフレンドクラブとしての新たな地平を進む意欲の表れだろう。 カヴァー曲は今回もアンダース&ポンシア、フィル・スペクター、ジミー・ウェッブ、先ほど触れた山下達郎、そしてロイヤレッツの楽曲が収録されている。よりマニアックな選曲ではあるが、どれもキャッチーでドリーミーな仕上がりで、敷居の高さを全く感じさせない。ペンフレンドクラブ、そして60年代アメリカン・ポップスを食わず嫌いしている人々にも、是非にお勧めしたいアルバムだ。
鰐部知範(BBFUN-japan会長、音楽ライター)
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とうとうここまで来てしまったのか ペンフレンドクラブ。でも最初から彼(彼女)たちの音楽は、単なる60年代の音楽を模倣するカバー・バンドの音からは遠いところにあった気がする。そんな予感みたいな音楽が、このアルバムでハッキリ姿を現しており聞き終えると「やっぱりペンフレンド・クラブ最高やん」と呟いていた。
森本書店
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ザ・ペンフレンドクラブといえばポップスフリークのみなさん感涙のカバー曲群で
お馴染みですが、この3rdアルバム『Season Of The Pen Friend Club』でもその期待
はけっして裏切りません。なんのてらいもなく「By The Time I Get To Phoenix」を
持ってくる不敵さと歌心よ。
でも今回、声を大にして言いたいのはアルバムの半分を占めるオリジナル曲の素晴
らしさ! 安易に流行を追わず、衒学的な懐古趣味にも陥らず、きっとどの時代に聴
いても懐かしくて新しい。すれっからしのポップスフリークのみなさんはもとより、
「グレン・キャンベルって誰?」という耳の新鮮な10代まで、聴けばぜったい夢中に
なれる粒よりの5曲です。
ここまで30回ばかり聴いてみての暫定マイ・ベストは「Where Did You Go」。ス
ピーカーから流れてくるたびに仕事の手が止まってしまう、素敵で迷惑なナンバーで
す。これ、素敵だけど迷惑ですよ。ああ迷惑だ。どうしてくれる。
越谷オサム(作家)
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日本における純ガレージポップバンドとして希有な存在になりつつある、ペンフレンドクラブのサード・アルバム『Season Of The Pen Friend Club』。こうしていち早く聴ける幸福感は何ものにも代え難い。
前作からヴォーカリストが高野ジュンさんへとメンバー・チェンジがあったが、このバンドが持つポップスの純度は益々高まるばかりで何の心配も要らなかった。 今回のサード・アルバムでは彼らの看板であったビーチ・ボーイズのカバー曲は1曲もなく、そのエッセンスはリーダーの平川雄一君が作るオリジナル曲のエレメントとして息づいており、アルバムの半数も占めているのは大きなポイントだ。 そしてカバー曲には美メロというべき、テディ・ランダッツォ&ボビィ・ワインスタイン、ゴフィン&キング、アンダース&ポンシア、ジミー・ウェッブに加え山下達郎の作品が並んでいるのも見逃せない。
彼らは着実に先人達の通った道を歩んでいる。その道はどこまでも遠く続いているのだ。
ウチ タカヒデ (音楽研究家、プロデューサー)
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眩い陽光に包まれたような、まさにサンシャイン・ポップという形容がこれほど相応しいバンドが他にあるだろうか。
The Pen Friend Clubの出来上がったばかりの、彼らとしては3枚目となるアルバムの音源に触れて、ますますその想いを強くした。
リーダーである平川雄一が憧れ続けている、ザ・ビーチ・ボーイズの音楽を「喜怒哀楽の怒がまったく感じられないサウンド」と称したレビューを昔目にしたことがあったが、
彼らにもそれがそのまま当てはまるのではないか。
2014年にリリースされた1枚目、それに次ぐ2015年の2枚目のアルバムでは、ビーチ・ボーイズやフィル・スペクター関連の楽曲など、良質なアメリカン・ポップスのカヴァーを披露し評判を集めたが、
3枚目となるこの『Season Of The Pen Friend Club』では、それまで「憧れの音像」であったものが、自然にバンド・サウンドに溶け合ったかのような力強さを感じとることができる。
それは精力的に展開しているライブを繰り返すことにより、自分たちのサウンドをより強固にしてきた賜物でもあろう。
全10曲の収録曲のうち半分にあたる5曲がオリジナル曲であるということも、このアルバムにかける自信の現われと捉えることもできる。
今回のアルバムは60年代中盤の雰囲気を湛えた、これまでとは少し感触が違う仕上がりとなっている。
それは冒頭の、ジェリー・ロスを想起させるシャッフル調のオリジナル曲「街のアンサンブル」が饒舌に物語る。
この曲と対比するような、山下達郎のミド60'Sテイストの「土曜日の恋人」を堂々とカヴァーしているのも、その想いがあってこそのことだろう。
他のカヴァー曲も、ビーチ・ボーイズ関連の曲を封印し、ロイヤレッツ、ダーレン・ラヴ、ザ・トレイドウィンズのあえて有名曲ではない曲を取り上げているのも、いい意味で欲が出てきた証拠だと思われる。
そして特筆すべきは、5曲収録されたオリジナル曲のグレードの高さ。これまでカヴァーしてきた曲のエッセンスを抽出しオリジナルに昇華させたような、どの曲もポップス・ファンであれば唸ってしまうものとなっており、
アルバムに通底しているミド60'Sのスパイスを絶妙に加味したかのような、上質な味わいとなっている。
このアルバムから、ボーカルが変わりバンドとして3代目となった高野ジュンのボーカルも、加入直後のライブでは危なげなところも見受けられたが、ここではバンドサウンドと拮抗するような、躍動感を感じさせるのも魅力のひとつ。
もちろん、平川雄一をはじめとしたメンバーの演奏力も一段とパワーアップした印象を受け、アルバム全体のグルーヴ感を押し上げている。
そうそうこのアルバム、是非ヘッドフォンで聞くことをお勧めしたい。各パートが見事に織り重なった重厚なサウンドに酔いしれること、間違いなし。
福原武志(音楽ライター)
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The Pen Friend Club。日本では、「唯一無二なポップスバンド」であることを
まず声高々に宣言してから始めます。
バンドの中心人物、作曲/編曲/プロデュースを手がける平川雄一くんは、2つの天才的才能を持っていると思っている。
まず一つ目の天才。彼は類い稀なる孤高のソングライターであるってこと。それは、この3rd.Album「シーズン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ」を聴けば誰の耳にも明らかだろう。心の琴線にさりげなく触れてくるメロディ、バンドが織りなす圧倒的なコーラスワークと60'sテイストをとことん追求した高い演奏力。そこに廣田くんのペンによるセンチメンタルな歌詞が絡み合うと、まるで古いアメリカ映画にでも出てきそうなスペクタルな音楽になる。だけど、2回3回と聴き込んでいるうちに、次第に曲たちの方から「ポップスだよ。」って言いながら、人懐っこく近づいて来てくれるんだ。アルバム10曲聴き終わった後味は、そう「フレンズ」ってビーチボーイズのアルバムを聴いたときの風味に良く似ている気がする。
二つ目の天才。彼は類い稀なるバンドリーダーであること。日本には、有能なポップス職人的SSWは多かれど、優れたポップスバンドは極端に少ない。そういった意味でもペンクラというバンドは希有な存在。「では何故、このようなポップ狂音楽をバンドで表現できるの?」答えは実に簡単。彼には曲を書くチカラも、人をまとめるチカラも両方備わっているから。とかくアルバムを聴けばポップスの先人みたく気難しい印象を持ちがちだけど、そんなことは全くなくて、ライブはもうメンバーでロックを純粋に楽しんでるって印象。度重なるメンバーチェンジも何のその、時に大変なことも多いはずだけど、あくまでバンドのフォーマットにこだわり、きっちり3枚目のアルバムをバンドで構築してみせた。やりたいことが違って来たりしてバンド解散、が一般的なポップス界のなかで、彼のやりたいことは、どこまでもバンドなんだね。
「唯一無二な」存在であることは、これでお分かりいただけたことと思います。
さあ、「シーズン・オブ・ザ・ペンフレンドクラブ」を聴いて、街へ繰り出そうよ。
鈴木恵(鈴木恵TRIO/EXTENSION58・音楽家)
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待ちに待った3rdです。リードボーカルが交代したにも関わらず、トータル感は全く変わっていない。
いかにバンドとしてのコンセプトがしっかりしているかが分かる。
作編曲、カバー選曲、Mix、ジャケ、ファッション、どれにおいても寸分の狂いもない。
平川雄一の嗜好への執念とそのプロデュース力の高さに脱帽です。
今回も素敵なカバー選曲(僕がやりたい曲は大体The Pen Friend Clubにやられてしまう)。
山下達郎「土曜日の恋人」はソフトロックだということを再認識させ、テディ・ランダッツォの極上サウンドを
バンドサウンドへとコンパクトに損傷無く収める。
また、そういった流れで聴いていると「これだれのカバーだろう」と思うくらいブレのないオリジナルソング(「Where Did You Go」最高!!)。
そして、メンバーのツボを押さえた演奏と高野ジュンの爽やかで少し憂いのあるボーカルの一体感。
今、日本のバンドで1番好きです。どうぞこのまま迷わずお進みください。
カンケ(謎の音楽家)
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2012年の結成以来、アンテナの高いポップスマニア、とりわけザ・ビーチ・ボーイズや
フィル・スペクター関連のサウンドが大好きな多くの人たちの「こんなグループがいてくれたらなぁ」という
想いを一つずつ叶え続け、新たな確固たるファンを着実に増やし続けている、ザ・ペンフレンドクラブ。
前作2ndアルバムのリリースにより、そういったマニアたちの心を根こそぎ掴み取り、
それ以外の多くの音楽ファンからの反響もしっかり受け止めつつも、
「自分の好きなことだけをやり続ける」というリーダーの平川氏の方針のもと、
彼らはじっくり丁寧な、存在自体が審美的とも言える活動の軌跡を、
今まさにこの瞬間も、一歩一歩踏みしめながら突き進んでいる。
そのためか、もっともっと広く知られるべき存在でありながら、
未だその認知度はマニア周辺の中に留まっている状態、なのかもしれない。
しかし、一方でこういった「バンド自らの心に忠実な活動」のこれまでを一旦総括する答えとして、
今ここに、最新作であるこの3rdアルバムが産み落とされた。
”情念などが、より純粋な、より高度な状態に高められること”を一般に「昇華」というが、
本作のイメージはまさにこれだ。
ルーツに真正面から挑み、バンドで再現することが大きな特徴である彼らの新作は、
なんと収録曲の半数がオリジナル曲。しかもそれを冒頭2曲に持ってきたうえ、
さらにトップを飾るのは初めての日本語詞ナンバーだ。
本アルバムの通奏低音として、日本に於けるBB、スペクター的アプローチの第一人者
(スピリチュアルな要素も含む)として甲乙付けることのできない、あの御二方へのリスペクトが込められていると思われるが、
詞や曲の"サイダーの炭酸がはじけるときのような突き抜ける清涼感"のイメージは、
使い古された手段でのそれではなく、あくまでルーツを掘り下げる活動を通じて考え抜き、正解を会得した、
彼らにしかできないフィジカルなやり方の結晶であると言える。
もちろんバンドの売りでもある、カヴァー曲の意図に満ちたハイブリッドな選択、
そのクォリティにも全く死角なし。
「目からウロコ」なそのコンセプトをひとつずつを語るのはちょっとここでは量的に無理なので、
どこかで会ったら呑みながらでも(笑)。
ここで一つだけ言いたいのは、本作では直接的にブライアン・ウィルソン作品のカヴァーを取り上げていないのに、オリジナル曲を含めたアルバム全体のイメージは、(あくまで個人的、直感的な感想ではあるが)
ザ・ビーチ・ボーイズで言うところの「トゥデイ」「フレンズ」そして直近の「神の創りしラジオ」のような
印象だということ。
自在かつ確固たる歌唱力を、あくまでソフトに包み込んで聴かせてくれる、
新たに加入したヴォーカリスト、高野ジュンが、バンドの最後の一ピースとして、これまでで一番の一体感を
ペンクラサウンドに与え、ぴったりと溶け込んでいることに加え、好きなことを突き詰めていく過程でのスペクター的「情熱」だけでなく、余裕をもって手を差し伸べるブライアンのそれにも似た「優しさ」に満ち溢れた作品として本作が完成しているから、かもしれない。
それでも、ザ・ペンフレンドクラブによる本格的な「昇華」活動は今ここに始まったばかりだと思う。
今後の期待に満ちた展開は、とは言え全く自分には予想もできない地点へ向かうかもしれないけど、
どうであれきっと彼らはこれからも、一切の気負いや作為なく、音楽を愛する気持ちをだけ身に纏い、
バンドとしてワン・アンド・オンリーなやり方でルーツを深めながら、ごく自然な佇まいで歩んでいくのだろう。
まずは本作の誕生の瞬間に立ち会える喜びを、できるだけ多くの方と分かち合い、祝福できれば、
一音楽ファン、ペンクラファンとして、これ以上に嬉しいことはない。
TOMMY VIVIAN (VIVIAN BOYS)
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カリフォルニアで生まれ、そして育った
偉大なる“ビーチ・ミュージック”への深い造詣と愛情。
ザ・ペンフレンド・クラブの作品に
ぼくはそれらを強く感じ、そして驚嘆する。
ポップ・ミュージックの歴史に刻まれた曲の数々に
新たな命を与え、蘇らせてきた彼ら。
そんな彼らが、さらに大きな飛躍を遂げた。
ここで際立っているのは
バンドによるオリジナル曲の数々だ。
しかも、日本語で歌われる「街のアンサンブル」を筆頭に、
アルバム収録曲の半数をオリジナル曲が占めている。
彼らは偉大なる先人たちによって生み出された
素晴らしいポップ・ミュージックに正面から対峙し、
そして音楽を紡いできた。
そこで積み重ねられてきたものが今、
新たな「灯」となって耀きはじめたのだ。
今、『Season Of The Pen Friend Club』を聴きながら、
ぼくはかつてのように、いや、それ以上に驚嘆している。
彼らの“新たな一歩”が刻まれたこのアルバム、
ひとりでも多くのひとに届くことを、心より願っている。
犬伏 功(音楽文筆家)